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厚生労働委員会にて質問に立ちました。

 5月24日、衆議院厚生労働委員会にて質問に立ち、旅館業に対する支援及び旅館業法の改正について政府の見解を質しました。


 質疑の概要を勝目事務所においてまとめました。長文につき恐縮ですが掲載いたします。 なお、正確なやりとりについては、議事録をご覧下さい。


ーーー 1.旅館業に対する支援について

【勝目】

 コロナ対応を踏まえた旅館業法等の一部を改正する法律案の質問に入る前に、今旅館が置かれている現状を鑑みたときに、旅館に対する支援をどうしていくか、というところから始めないといけない。


 新型コロナは、京都の基幹産業の一つである観光、そして観光を支える旅館業を直撃し、この3年余りの間、需要の蒸発とも言える大変厳しい事業環境に置かれてきた。もちろん、これは京都だけのことではなく、全国的に同様の事態になっていたものと考えている。


 この間講じられてきた様々な支援策によって、事業と雇用の継続に大きな役割を果たしていただいた。その結果、例えば旅館の倒産件数は、リーマン・ショック時よりもかなり抑え込まれていると承知をしている。


 去る5月8日、新型コロナ感染症が感染症法上の5類に位置づけられ、人の流れもかなり戻ってきた。観光客も増え、緊急的・特例的な支援措置も、順次、平常化に向けて方向転換をしている状況であると承知をしている。


 ただ、ここで忘れてはいけないのは、コロナ期間中講じられてきた支援策の中で圧倒的に金額が大きいのは、いわゆるゼロゼロ融資である。これは実質的に、コロナ禍における営業損失に対するいわば埋め合わせ的な資金繰り支援であった。特例的に好条件での借入れであったとはいえ、借金は借金である。3年分の借金の蓄積が過剰債務問題として今旅館を営む事業者にのしかかっている状況にある。この過剰債務問題を何とかしないと、経営の持続性が確保できない、さらには、将来に向けた攻めの投資もできない。ひいては、日本の旅館業、観光産業全体の衰退を招くおそれがある。


 そこで、まずは返済原資をどう確保するかが重要になるが、旅館業は、コロナが去ってまた一難、また別の課題に直面している。人手不足で、せっかく予約が入ってもその予約を取り切れない、収益機会を逸してしまっているということもあるし、物価高騰が収益を圧迫している。


 ポストコロナ、観光立国を再び目指していくに当たって不可欠なインフラである旅館の持続性確保のため、まずは収益確保を強力に後押しすることが必要。人手不足への対応を含め、旅館業に対するエールを込めて、観光庁としての支援策を伺いたい。


【観光庁審議官】

 旅館を始めとする宿泊業においては、コロナ禍により、債務残高がコロナ前に比べ4割以上増大し、人手不足の状況を示す欠員率、こちらも全産業に比べ相当高い水準となっている。


 観光需要の回復が見られる中で、人手不足による供給制約等により収益確保に支障が生じないよう、収益性、生産性の向上に資する観光地一体となった宿泊施設等の高付加価値化、DXの推進、必要な人材の育成、確保に強力に取り組むことが不可欠。また、こうした取組の果実として、従業員の方々の待遇改善が図られ、担い手の確保につなげていくという好循環を目指していくことが重要と認識。


 このため、観光地、観光産業の再生、高付加価値化事業として、昨年度の第2次補正予算において1,500億円を計上し、全国各地で、宿泊施設の改修、地域全体の面的DX化への支援、また、観光DX推進として、地域内の宿泊施設等における予約や在庫等のデータの共有、また、こうしたデータを活用した利活用によって新たな価値を生み出す等への取組支援、さらには、人材育成、確保のための支援として、観光人材を育成する教育プログラムの作成や、これの実践に向けた支援、これらに取り組んでいるところ。


 引き続き、こうした支援も十分活用し、観光産業が持続可能で稼げる産業へと変革していくことを目指し、しっかり取り組んでいく。


【勝目】

 高付加価値化事業については、かなり事業者の関心も高い。今、1次募集の手続をされているところかと思うが、全部はけない場合は、2次、3次募集に向けて伴走的に御支援いただくことも大事になってくる。


 また、人材の育成や処遇の改善にも言及いただいた。総合的に取り組むことが大事である。


 全国旅行支援も、今の予算が終われば終了ということになっておろうが、いきなり支援が終わってその後何もなしでは、支援の崖ができてしまう。旅行需要そのものが一気に減退することも懸念され、旅館業、そして旅行産業全体への支援に引き続きしっかりと取り組んでいただきたい、ここは強く求めておきたい。


 旅館業界においては、日頃おつき合いの深い政策公庫や商工中金といった政府系金融機関による資本性劣後ローンの活用促進など、更なる金融支援を求める声が強くある。利率や期間などの条件面での改善、あるいは金融機関としてのノウハウを生かした支援も含め、政府系金融機関としての対応方針を伺いたい。


【里見大臣政務官】

 御指摘のとおり、コロナの影響の長期化や物価の高騰に加え、今後コロナ融資の本格的な返済を迎えるなど、旅館業を含む中小企業を取り巻く環境は非常に厳しい状況にある。事業再構築投資に必要な資金などについて、借入金を資本とみなすことで民間金融機関から新規融資を受けやすい環境を整備するため、資本性劣後ローンの活用を促進することは大変重要と考えている。


 コロナ対応としての政府系金融機関による資本性劣後ローンについては、通常のものよりも金利を大きく引き下げるとともに、融資期間の延長や融資限度額の引上げを行うなどの措置を取ってきたところ。本年3月には、経済産業大臣、財務大臣等から、官民金融機関に対し活用の促進を要請している。


 加えて、日本公庫の資本性劣後ローンの活用促進に向け、令和3年4月から、税理士等の認定支援機関、全国で3万5千機関、これらの支援を受けて事業計画を策定していれば、民間金融機関との協調融資がなくとも利用が可能となるよう措置をしたところ。この制度を一層周知するため、本年3月に公表したコロナ資金繰り支援継続プログラムにおいて、認定支援機関との連携強化を盛り込んだところ。


 あわせて、制度の活用促進のため、官民の金融機関や信用機関に対し、金融庁等と連携をして全国で説明会を開催し、周知広報を行っているところ。


 なお、商工中金において、令和3年に設置した宿泊業専門支援チームが中心となり、各地の旅館組合への支援も実施しているところであり、今月より、一般社団法人日本旅館協会と連携し、業績回復や成長に取り組む宿泊事業者への経営サポート強化に向けた体制を構築している。


 引き続き、こうした取組を通じて、旅館業を含む中小企業をきめ細やかに支援をしてまいりたい。


【勝目】

 諸々手を尽くしていただいて、この周知をよりしていただいて、活用しやすい環境をつくっていただきたい。また、商工中金さんの支援チームなどのノウハウ支援も含めたハンズオン的な支援も非常に重要になってくるので、どうぞよろしくお願いしたい。


 旅館の過剰債務問題の解決がポストコロナの観光立国の帰趨を左右をすると言っても過言ではない。観光立国とは、インバウンドも含めて観光を我が国の重要産業の一つとして育てていくということであり、旅館はそのインフラである。金融秩序を踏まえつつではあるが、産業インフラを守って育てるとの思いで、現場に寄り添った対応をとことん追求していただきたい。


2.旅館業法改正案について

(1)感染症対応の特例措置の始期と終期について

【勝目】

 この法案は、さきの臨時国会に提案され、それが継続審議となって、結果的には新型コロナ感染症が5類に変更になってからの審議入りということになった。今回の記憶が鮮明なうちに、その教訓を生かして次なる感染症に備える制度を作り、旅館の営業者にとっても、宿泊者にとっても、また公共の福祉の観点からも、予見可能性を持って、極力混乱なく現場で運用されるものにしていくことが重要だと考えている。


 まず、今回法案に盛り込まれる感染症に係る宿泊拒否事由の明確化についてであるが、この規定が発動されるのは、特定感染症が国内で発生している期間に限るとされている。


 実際に、宿泊者に対して、特定感染症患者に該当するかどうかの報告の求め、あるいは感染防止対策に対する協力の求めを行って、正当な理由なく求めに応じない場合は宿泊拒否という判断もしなければならない旅館にとって、この仕組みを発動できるのは一体いつからなのか、あるいは、いつその期間は終わるのか、これが分かっていないと適切に制度が運用されないことになってしまう。


 そこで、新型コロナ感染症のケースを例に取って御説明をいただきたい。また、全ての旅館に対して始まりと終わりの情報がしっかり届く必要があるが、どのような仕組みでこれを伝達されるのか、お聞かせいただきたい。


【厚労省生活衛生・食品安全審議官】

 特定感染症の国内発生期間については、感染症法上の類型によって、1類、2類、新型インフルエンザ感染症などで多少異なるので、委員御指摘のとおり、新型コロナウイルス感染症のケースを当てはめた場合の始期についてお答えしたい。


 まず、この感染症が発生した約3年前、その当時の規定と今と異なっており、一概には答えられないが、そのときに当てはめると、新型コロナウイルス感染症が国内で発生した旨の公表は、令和2年1月16日に行われた。また、指定感染症に指定され、入院等の規定が準用されたのは、2月1日であった。同日時点で症状の程度が重篤であり、かつ全国的かつ急速な蔓延のおそれがあるものと認められていたとすれば、今回のケースについては令和2年2月1日が始期に当たったものと考えられる。また、終期については、新型ウイルス感染症が、その時点では新型インフルエンザ等感染症になっていたものが、本年5月8日に5類感染症へ移行したことから、本年5月7日が終期に当たると考えられる。


 続いて周知については、旅館業の営業者が感染防止対策への協力を要請できる期間については、特定感染症が国内で発生した際に、厚生労働省から、旅館業の営業者や、何より国民の皆さんに対してホームページや通知等によって速やかに周知を行ってまいりたい。


【勝目】

 中国武漢で確認されたのが2019年12月であった。そして、国内では1月16日に最初の確認であったが、実際に指定感染症としての位置づけが与えられたのは2月1日なので、今回のケースでいうと2月1日からになるということと理解。それまでの間、いろいろな情報が飛び交うが、実際に始まるのは、当然のことではあるが、法律上の位置づけができたときからだということである。事業者への周知の仕組みの構築を含めて、しっかりとお願いをしたい。


(2)ガイドラインについて

【勝目】

 続いて、条文上は必ずしも策定されることにはなっていないが、ガイドラインについてお伺いしたい。


 感染防止対策と宿泊拒否に関して、旅館側としては、判断の根拠となるようなきめ細かな基準が必要であるし、宿泊者側としても、予見可能性が高い方がいい。感染防止対策に関してはどういう内容にするのか、あるいは、求めに応じない場合の正当な理由というのはどういうものなのか、これが旅館側の任意の判断に委ねられるということでは、これは旅館側の要請にも利用者側の要請にも結局応えられないことになるのではないかと懸念するところ。


 そしてまた、これは感染症対策ではないが、営業者側にとって過重な負担となる要求を繰り返したときも、これは宿泊拒否事由として追加された。いわゆるカスタマーハラスメント、権利の濫用というような行為を繰り返し行う迷惑客については、お客様というのは神様ではなく対等な契約関係の一方の当事者であるので、従業員の肉体的、精神的な苦痛あるいはほかの宿泊客への影響といったものを鑑みれば、宿泊拒否事由として追加されるのは当然必要なことと考える。


 他方で、これも旅館側の完全な任意に委ねられると、宿泊拒否が不当に拡がってしまうのではないか、特別な配慮を要する障害をお持ちの方あるいは高齢の方から懸念が示されているが、これは非常によく分かるところ。この点についても、国が一定のガイドラインを示すことが必要と考える。


 感染防止対策といわゆる迷惑客対応、これら2点のガイドラインについて、策定するのかしないのか、する場合、その法的な性質はどういうものになるのか、また、内容はどのようなものになるのか、それぞれについてお答えいただきたい。


【伊佐厚生労働副大臣】

 まず、宿泊拒否の判断であるが、宿泊拒否事由に該当する場合を除き、宿泊を拒んではならないとなっている。


 今回の改正法案においては、営業者は、宿泊拒否事由に該当するかどうかを判断するに当たり、宿泊しようとする者の状況等に配慮するとともに、客観的な事実に基づいて慎重に検討することが求められる。これを実現するために、本法案が成立した場合には、関係者による検討会で検討を行った上で、宿泊拒否等について適切に対処するためのガイドラインを策定することを考えている。


 このガイドラインについては、法規たる性質を有するものではない。ただ、旅館業法第5条に違反して不当な宿泊拒否を行った場合には罰則の対象とされていることなどを踏まえると、営業者に旅館業法を適切に運用していただくために重要なものになると考えている。


 このガイドラインの内容については、現時点で考えられるのは、例えば、感染防止対策の内容としては、体温測定あるいは個室待機、手指消毒などが考えられるが、例えば、消毒用アルコールへのアレルギーがあって手指消毒が困難である場合、宿泊を拒まれない正当な理由に該当するということであるとか、あるいは、そのほかの正当な理由としては、医療機関の逼迫や診療時間外によって医師の診察を受けられない場合などが考えられる。


 また、営業者は、宿泊しようとする者の状況等に配慮して、みだりに宿泊を拒むことがないようにする。先ほど委員の言及のありました迷惑客の宿泊拒否対象となる事例についても、宿泊者が従業員を長時間にわたって拘束し、又は従業員に対する威圧的な言動や暴力行為をもって苦情の申出を繰り返し行う場合などが該当する、また、障害を理由として宿泊を拒むことはできない、こういった内容を盛り込むことを考えている。


【勝目】

 旅館の方には、宿泊拒否の根拠になるような基準、お客さんには、自分はそれの対象になるのかどうかという予見可能性、そしてそれは公共の必要があるのか、この3つの価値をしっかり実現できるような現場実装につなげていただきたい。


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